2006年06月19日

25.医師、乳がんの細胞診のターゲットを外す

 病院の外科の待合室は「乳ガン」検診を希望する人であふれかえっていた。患者とナースの会話からそれが伝わってくる。『乳ガンの本』を読む以外暇なので、「ダンボの耳」のように話をキャッチしていた。
 
 あの人もこの人も、不安を抱えているようだった。みんなたいてい下を向いて(当たり前ですが)考え込んでいる感じでした。
 
 私は、と言えば・・・私だってそうでした。ドキドキ、バクバク・・・。こう見えても小心者なので悪い方へ悪い方へ考えてしまうんです。
 
 もしも「乳ガン」だったら、もう子どもとお風呂には入れないなぁと考えていました。
 
 どれくらい取るのかはわからないけれど、きっと傷が残って、乳房のかたちがかわるだろう。
 場合によっては片方の乳房を失うかも知れない・・・。そんな姿をあんな幼い子どもに見せるわけにはいかない・・・・。
 
 あと、いくつ一緒にお風呂に入れるのかなぁ・・・。考えていると、ドンドン暗くなってきた。
 
 どんなに小さな胸でも、あったほうがいいんだ・・・。
 
 「自分の体をののしっていると、いつか体からしっぺ返しがくる」という ・・・
 
  きっと、これなんだ。
 
 おろかですよね、こうならなきゃわからないなんて・・・。
 
 「中待合室」で待つことになったが、薄いカーテンがあるだけなので、「診察を受けている人」の内容が全部聞こえてきてしまう。これはたいていどこでもそうだった。
 
 聞いてはいけないのだけれど、イヤでも聞こえてきてしまう。
 
 その人は私とほとんど同じ状態でここへ来ていた(そうだったんだ・・この人も辛かったな・・)。
 
 その人は「細胞診」をやることになった。
 
 「簡単ですから、大丈夫ですよ」 
・・・この先生は「医長」らしい。「細胞診」をこの場でできるの?(あの大学病院ではできないといった細胞診が、今ならもれなくこの場ですぐにできるというの・・・? ) 
 
 この人がいい!・・密かに期待して待っていた。ドアーの前に陣取っていた。
 
 しかし、呼ばれたのは、別の医師だった。
 
 ここでも持参した資料とは別に、念のため「マンモグラフィー」と「超音波」をとっていた。
 
「・・・難しいですね、ちょっと、形が悪いんですよね」
 
「これは取る必要があるものでしょうか? 」
 
「えぇ、取らないとだめでしょうね」
 
「細胞診やってみましょうか? 」
 
「(えっ、先生もできるの? すごい! )今日、できるんですか? 」
 
「できますよ、ちょっといたいけど大丈夫ですか? 」
 
「ハイ(覚悟はしてますから)」
 
 そしてなにやら準備を始めたのだけれど、なにしろ初めての経験で、しかも私は「注射」が大嫌いなので、かなりこわかった。
 
「あれっ」
 
「えっ? 」
 
「すいいません、ちょっともう一回」
・・・なんと、外してしまったのだ。そんなぁ、どうして・・・・・・???鋭い痛みだけが残った。
そしてもういちど・・・。 
 
「あぁ・・・うぅ・・・・ん。ちょっと、いちおう取れました」
 
「・・・・・取れたんですか? 」
 
「いちおう取りましたから、来週また来てください。この結果が出ますから」
  
 とにかく痛かった。腕が胸にくっついたまま離せなかった。車を運転するのが辛かった。
 これではっきりするのなら、いい。これぐらいの痛みは我慢しよう。
 
 前に進むしかないんだ。どんな結果でも、受け入れよう。 
 
・・・結果は次回に・・・・。
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