病院の外科の待合室は「乳ガン」検診を希望する人であふれかえっていた。患者とナースの会話からそれが伝わってくる。『乳ガンの本』を読む以外暇なので、「ダンボの耳」のように話をキャッチしていた。
あの人もこの人も、不安を抱えているようだった。みんなたいてい下を向いて(当たり前ですが)考え込んでいる感じでした。
私は、と言えば・・・私だってそうでした。ドキドキ、バクバク・・・。こう見えても小心者なので悪い方へ悪い方へ考えてしまうんです。
もしも「乳ガン」だったら、もう子どもとお風呂には入れないなぁと考えていました。
どれくらい取るのかはわからないけれど、きっと傷が残って、乳房のかたちがかわるだろう。
場合によっては片方の乳房を失うかも知れない・・・。そんな姿をあんな幼い子どもに見せるわけにはいかない・・・・。
あと、いくつ一緒にお風呂に入れるのかなぁ・・・。考えていると、ドンドン暗くなってきた。
どんなに小さな胸でも、あったほうがいいんだ・・・。
「自分の体をののしっていると、いつか体からしっぺ返しがくる」という ・・・
きっと、これなんだ。
おろかですよね、こうならなきゃわからないなんて・・・。
「中待合室」で待つことになったが、薄いカーテンがあるだけなので、「診察を受けている人」の内容が全部聞こえてきてしまう。これはたいていどこでもそうだった。
聞いてはいけないのだけれど、イヤでも聞こえてきてしまう。
その人は私とほとんど同じ状態でここへ来ていた(そうだったんだ・・この人も辛かったな・・)。
その人は「細胞診」をやることになった。
「簡単ですから、大丈夫ですよ」
・・・この先生は「医長」らしい。「細胞診」をこの場でできるの?(あの大学病院ではできないといった細胞診が、今ならもれなくこの場ですぐにできるというの・・・? )
この人がいい!・・密かに期待して待っていた。ドアーの前に陣取っていた。
しかし、呼ばれたのは、別の医師だった。
ここでも持参した資料とは別に、念のため「マンモグラフィー」と「超音波」をとっていた。
「・・・難しいですね、ちょっと、形が悪いんですよね」
「これは取る必要があるものでしょうか? 」
「えぇ、取らないとだめでしょうね」
「細胞診やってみましょうか? 」
「(えっ、先生もできるの? すごい! )今日、できるんですか? 」
「できますよ、ちょっといたいけど大丈夫ですか? 」
「ハイ(覚悟はしてますから)」
そしてなにやら準備を始めたのだけれど、なにしろ初めての経験で、しかも私は「注射」が大嫌いなので、かなりこわかった。
「あれっ」
「えっ? 」
「すいいません、ちょっともう一回」
・・・なんと、外してしまったのだ。そんなぁ、どうして・・・・・・???鋭い痛みだけが残った。
そしてもういちど・・・。
「あぁ・・・うぅ・・・・ん。ちょっと、いちおう取れました」
「・・・・・取れたんですか? 」
「いちおう取りましたから、来週また来てください。この結果が出ますから」
とにかく痛かった。腕が胸にくっついたまま離せなかった。車を運転するのが辛かった。
これではっきりするのなら、いい。これぐらいの痛みは我慢しよう。
前に進むしかないんだ。どんな結果でも、受け入れよう。
・・・結果は次回に・・・・。
2006年06月19日
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