真夜中だった。午前3時、母に何かあったのかと慌てて電話をとった。
「こんばんは、○○大学の、○○です」
電話は4番目の病院の医師だった。
「遅くなってすみません、細胞診の結果が出ました。線維腺腫でした、よかったですね」
ホントによかった。これで、安心した。
「先生、これは大きくなるんでしょうか? 」
「そうですね、大きくなるかも知れません。定期的に細胞診をやった方がいいですよ。傷は大きくなるかも知れませんが、その時とってもいいですし、心配なら、今とってもいいでしょう」
「このあたりでしたら、どこがいいでしょうか? 」
「そのあたりではオススメできるところはありません。また、全身麻酔されますからね。僕なら、きれいに取ってあげますよ」
「本当ですか? 」
「ええ、もちろん。入院しなくていいです。日帰りで帰れますから」
「先生がやってくださるんですか? 是非お願いします」
「じゃあ、また僕の診察日に来てください、手術の承諾書などが必要になりますから」
「必ず伺います、ありがとうございました」
・・・こんなことがあっていいのだろうか。この医師が自らきれいにしこりを摘出してくれるという。
しかも、日帰りで帰れる。
3週間入院しないでいいんだ(もちろんガンではないからだけれど)。
今がチャンスだと思った。
これは、運がいいとか、悪いとか、そういう観点から見れば間違いなく私は運がよかった。
ガンではなかったこと。
人(作家・ナース・子ども・家族)に恵まれたこと。
運命を分けた『乳がんの本(仮名)』との出会い。
医師に恵まれたこと。
ただ、私がサインをその場で書いたのか、後日持参したのか、6年前のことなので、定かではない。ただ、その承諾書の執刀医はまちがいなく、その医師だった。
今、家のどこかを探せば、それが出てくるけれど、今、それを知ったからと言って、どうなるものでもない。
「心配いりませんから、きれいにとってあげますからね。安心して手術を受けてください」
私は、まったく心配していなかった。
この腕のいい医師に手術をしてもらえるなんて、なんてラッキーなんだろうとただ嬉しくて、なんの不安も感じていなかった。
本当に信じて、疑わなかった。
きょうのひとこと
苦手な人に会う前に、自分が感じてる「敵意」を流す。 そして、会う。


